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“どうしたいか”を考えるトレーニングと実践の場ーATAMI 2030だよ♨️全員集合!体験レポート後編

2017年8月21日 14:48pm

ATAMI 2030だよ♨️全員集合!の体験レポートを熱海出身・東京在住のライター・国分美由紀さんに執筆いただきました。熱海のまちづくりのリアルな現在地がわかる記事、後編をお届けします!
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どの街で暮らすにも、生きていくには仕事が必要だ。
オープニングトークの後、リノベーションスクールから事業化につながったシェアアトリエ&イベントスペース「chause」とコワーキングスペース&シェアオフィス「naedoco」、ロマンス座の3ヵ所でそれぞれ2種類のトークセッションが開催されると聞き、まずはnaedocoへ。セッションのテーマは「あたみで働く」。
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登壇者は、市役所職員の大塚 進さん、ホテルスタッフの栗原幸英さん、ライターの小林紀子さん、まちづくり会社machimoriの三好 明さん。じつは、4人とも熱海出身ではない。たまたま勤務地が熱海だった人、熱海に関わるうちに仕事を作った人、活動拠点を熱海に持った人など、まちとの関わり方もそれぞれ。

「熱海は課題先進地域、つまり問題ばっかり(笑)。でも、そこに関われる“余白”がある。東京で当たり前だと思っていたスキルが、専門家として役立つ場がある。場所や相手によって自分の価値は変わると感じた」

と話す三好さん。
小林さんも

「熱海なら、自分のやりたいことに手を挙げれば叶う可能性が高い。ブルーオーシャンなまちだと思う。跡継ぎ問題も、視点を変えれば“跡を継げる場がある”と考えられるのでは」

と続けた。
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たしかに、50.7%という日本一の空き家率は、商売や発表の場を求める人にとって“チャレンジの場”と映るかもしれない。もちろん、まちやエリアに可能性を感じられることが前提だけれど。そして、2人に1人が高齢者という現状は、福祉だけでなく教育や都市設計、娯楽や交通機関などさまざまなアイデアを実践し、リアルな声やデータを集める絶好のチャンスにもある。まちの弱みには、大きな未来のヒントが隠れているのだと思う。
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ただ、職種によっては仕事の意味や価値がすぐには伝わらないかもしれない。とくに、デザインや編集、映像や音楽など、制作に必要なスキルや作業工程が見えづらいものほど「プロだから簡単に(=安く)できるでしょ」と言われてしまうことも多い。どんな職業であれ、互いの仕事に敬意を払えたら、きっといい風が吹く。
参加者のほとんどが熱海以外から来ていたことも興味深かった。もしかすると彼らのなかには、すでに熱海で働くという選択肢があるのかもしれない。参加者の目に、熱海のまちはどう映っているのだろう。
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続いて、ロマンス座でのトークセッション「ツーリズムと暮らし」へ。自身が南熱海へ移住した経験をもとに、仲間と「Circulation Lifeプロジェクト」を立ち上げ、移住前のトライステイ(試し住み)ができる環境を整えた中屋香織さん、“アイディアの源泉掛け流し”がコンセプトの合宿施設「ユトリエ」立ち上げに奔走する鈴木夢乃さんと近藤 尚さん。そして銀座通り商店街のゲストハウス「MARUYA」の渡辺大記さん。
自分の暮らしかた、生きかたを見つめ直して動き、さらに周りを巻き込む場をつくる人たちだ。
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ユトリエが動き出したのは、昨年のATAMI2030会議がきっかけだと鈴木さんは言う。

「客席で話を聞いたり、いろいろな人との出会いを通じて、
実現できるかもしれないと思いました」

中屋さんも

「熱海にきたら、地方特有の閉塞感がなくて、
オープンな空気を感じたんです」

と移住の理由を語った。どちらも、熱海で得た実感が場づくりの原動力になっている。そして、

「“泊まると熱海がくせになる”をテーマにしたゲストハウスMARUYAの運営に携わるなかで、くせになる最大のきっかけは人との関わりだと実感しています」

と渡辺さん。
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お互いの顔が見える距離感のまちに暮らすと、町内会や祭りなど、日常的な関わりが増える。個人主義を通すのは難しいから、自分の気持ちや時間の枠を少しゆるめておく必要がある。それを、面白さや心地よさと感じるか、面倒だと思うかで、日常の景色はずいぶん変わる。

「どんな小さなことでもいいから、まちの課題を解決したり新しいものを生み出す面白さを共有したい。
そこから接点をつくっていけたら」

と話すユトリエのふたりは二拠点居住を続ける予定だそう。
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ゲストハウスや湯治、トライステイに合宿、二拠点居住から移住まで、「旅」と「暮らし」の間にはさまざまな過ごし方がある。一人ひとりに合った滞在スタイルを選べる場所が点在し、ゆるやかに連携することでまちの入り口は広がり、くせになる人を増やす土壌ができる。
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熱海のまちを知り、人に出会い、思いをシェアするために動き出した人たちがいる。誰かと共有したくなるほどの面白さは、まちの宝探しにつながる。きっと、未来のまちの使い方は、熱海をまっさらな目で見つめる人と地元の人が交わるところから生まれていくだろう。
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ATAMI2030会議に参加して「いい話をきいた」と満足してはもったいない。これは、熱海が“どうなっていくのか”ではなく、“どうしたいか”を考えるトレーニングと実践の場。2050年の日本の姿ともいわれる課題先進地域の熱海は、ひょっとすると世界の注目する先進地域になるかもしれない。その鍵はもう手の中にある。


文・国分美由紀(こくぶ みゆき)
編集・ライター。熱海で生まれ育ち、現在は東京で女性誌を中心に活動。NPO atamista発行のフリーマガジン「あたみのつかいかた」を立ち上げ、まちづくりや手しごとなど「ひと・もの・こと」について執筆。


次回のATAMI2030会議は8月23日(水)。
ATAMI2030会議 第2回テーマ「『現代』と公共空間」
日時:2017年8月23日(水) 18:00〜20:30
会場:naedoco(熱海市銀座街6-6 サトウ椿ビル 2F)
申込:https://goo.gl/forms/bKwsdk8byrzg3woM2
詳細はこちら:http://renovation-atami.net/2017/07/06/2030mtg02/

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