街の文化を読み解く、街の文脈を引き継ぐ、そして新たな価値をつくる~すみだ向島EXPOからみえること~
2024年9月26日 21:53pm
街を散策しながら多彩な作品を鑑賞するアートイベント「ATAMI ART EXPO 2024」を皮切りに、「熱海芸術祭」が今年も12月1日までの期間で開催されます。
50組のアーティストが市内各所に展示する「ATAMI ART GRANT」や、即興ライブを中心とした「熱海未来音楽祭」など様々なアートイベントが開催される毎年秋の恒例イベントです。
ATAMI ART GRANTでは熱海市内各所にある空き店舗や、既存の建物を活用し行われます。
熱海のまちなかにある昭和のまま時が止まったような街並み。
清濁合わせ呑んだ昭和の繁栄が残り香でもあるこれらの昭和の建築群が、このアートイベントをより魅力的に思わせます。
しかし、こうした昭和の建物や風景がだんだんと減りつつあるのも事実です。
建物の老朽化が進んでいる現状と熱海の観光の盛り上がりがあるさなかで、多くの資本が投じられ、建物が建て替えや、大規模な開発の動きも出てきています。
都市開発の流れを踏まえつつ、古き良き文化をどう残すのかは、非常に重要なテーマではないでしょうか。
舞台は変わって東京の墨田区向島。
このエリアは木造長屋が密集しており今でも情々ある姿を残しています。。その特徴から、「東京で最も危険な地域」と呼ばれることもあるほど、災害リスクの高いエリアでもあります。
こんなエリアだからこそ開発の波に飲み込まれてしまう可能性が高くあります。
歴史が開発によってかき消される前に、その文化を守り続けたい。そのために用いられるのがアートとデザインの力です。
墨田区向島では、地域住民やアーティスト、建築家やクリエイターが一緒になり、長期間にわたって街の未来を考えるイベント型の取り組みがあり、その歴史は20年以上も続いています。
アートイベント「すみだ向島EXPO」は、地域の日常に溶け込んだ芸術祭。訪れると、どこまでが日常でどこからが非日常なのかがよくわからない印象を受けるでしょう。
イベントという非日常を、日常にどのように文化を溶け込ませていくか。またいかに時間を積み重ねてきた建物の魅力と雰囲気をこれからも残していけるか。それを実践してきたのがこのエリアです。
今回は、芸術祭「すみだ向島EXPO」の実行委員長であり、この向島エリアの長屋を20軒も維持し管理している後藤大輝さんにお越しいただき、お話をしていただきます。
後藤さんの取組はただ一つの長屋を活用するということにとどまらず、長屋群を維持・活用していくために次々と長屋を活用し、またそれを可能にするファイナンス(資金調達)手法の研究などもするなど、”いかにエリアの価値を保ち育てるか”ということに取組み続けています。
この後藤さんの話から、この熱海のまちなかでも、建物をいかに残し、街を残し、文化を残していけるか、を考えていきたいと思います。
また、今回の講演会の後半には、11月に開催するリノベーションスクールで対象とするエリアを深掘りします。
このエリアは、かつて昭和33年まで赤線地帯として、女性を求める遊客で賑わっていたというエリア。
当時の店々が姿を消してから60年以上の歳月が流れているものの、遺された建物の意匠から、当時の街の面影を忍ぶことができます。
時代は忘却され、貴重な建築物も失われようとする中、その一つに再び息を吹き込んだのが、バーコマドです。
このバーコマドの店主の高須賀 哲さん、色街写真家の紅子さん、吉原遊廓にある日本唯一の遊廓専門書店店主の渡辺豪さんをお迎えし、エリアの文脈を紐解き、何がこのエリアの残すべき価値なのかを探っていきたいと思います。
\\こんな人にオススメ!//
身近なところからまちづくりに関わってみたい!
アートや文化に関心がある!
街の風景や文化をいかに残していくかに関心がある!
色街文化を素直に学びたい!
リノベーションスクールへの参加に興味がある!
<第6回 リノベーションスクール@熱海 事前講演会>
街の文化を読み解く、街の文脈を引き継ぐ、そして新たな価値をつくる
日 程 2024年10月15日(火) 18:00 – 21:00(受付開始 17:40 事前まち歩き17:00〜)
会 場 将棋道場 (熱海市中央町7-3)
参加費 2,000円(交流会の1ドリンク+軽食費込み)
内 容 まち歩き・物件見学 17:00-17:40
リノベーションスクールについて 18:00-18:15
後藤大輝さん講演 18:15– 19:15(講演50分、質疑応答10分)
トークセッション19:15 – 20:00
バーコマドのこれまでとこれから(バーコマド 高須賀哲さん)
トークセッション(後藤さん・高須賀さん・紅子さん・渡辺さん)
会場にて交流会 20:10 – 20:50
申 込 Peatix よりお申し込みください
プロフィール
後藤 大輝(ごとう だいき)暇と梅爺株式会社 代表取締役
暇と梅爺株式会社 代表取締役
一般財団法人八島花文化財団 代表理事
すみだ向島EXPO実行委員会 実行委員長
愛知県名古屋市出身。現・日本映画大学演出専攻卒。2008年に墨田区京島へ移住。
2010年より「爬虫類館分館(BUNKAN)」の運営を開始。「旧邸」「別館」「文花会館」等、長屋物件を運営。2019年に暇と梅爺株式会社に法人化し不動産の企画運営に本腰を入れる。現在20拠点程を運営、主に共創型サブリース事業を行う。
2020年、街なか博覧会「すみだ向島EXPO」を一つの狼煙にして、まちの未来に結集を呼び掛け2024年10月開催で5回目の開催をむかえる。100年、1000年先の土地建物・長屋文化を継承する受け皿となる、八島花文化財団を2023年、設立する。
地域価値を共創する不動産業アワード 低未利用不動産の有効活用部門 優秀賞受賞
高須賀 哲(たかすか てつ)
バーコマド店主/編集者・ライター
出版社に勤務後、2013年よりフリーランスの編集者・ライターとしてファッション誌やライフスタイル誌、ウェブサイト、教育系の媒体で原稿を執筆、ファッションブランドのカタログを編集等、ウェブ媒体を中心に活動中。
2017年に熱海に移住。2022年に「バーコマド」をオープン。
紅子(べにこ)
1972年生まれ。色街写真家・元吉原ソープ嬢。10代で風俗嬢となり、関東各地の風俗街を 13年以上転々とする。48歳から独学でカメラを始め、風俗街、赤線、遊廓跡地などを訪れ、日本各地に残る色街の風景の記録を始める。49歳より都内各地で写真展やトークイベントを開催。
過去の風俗体験記と色街の文化を紹介する『紅子の色街探訪記』 YouTube で配信中。51歳となった2023年12月写真集「紅子の色街探訪記」出版。
渡辺 豪(わたなべ ごう)
昭和52年福島県生まれ。これまで全国約500箇所の娼街を取材。2015年、遊廓専門出版業『カストリ出版』創業。17年、同専門書店『カストリ書房』開店。吉原遊廓跡にある日本唯一の遊廓専門書店は女性客が8割を占める。京都芸術大学非常勤講師。著作に『遊廓』(新潮社)、『赤線本』(イーストプレス)、『カストリ雑誌 戦後の徒花』(三才ブックス)がある。
参考URL
すみだ向島EXPO https://sumidaexpo.com/
防災は挨拶から始まる。”東京一危険”なエリアの芸術祭「すみだ向島EXPO」が照らす日常 https://sdgs.yahoo.co.jp/originals/131.html