リノベーションスクール事前講演会レポート@網代〜地域を編集する〜
2024年9月4日 22:15pm
よく晴れた8月24日。
旧網代小学校、現AJIRO MUSUBIにて、リノベーションスクール網代エリアの事前講演会が行われました。
網代の新しい交流の起点となる場で、網代の「今と未来」を考えます。
講演会内容はこちらから
https://renovation-atami.net/2024/08/17/jizenkoen-ajiro/
本記事は、実際参加した講演会のレポートとなっております。
まちあるき、講演会、網代に関わるプレイヤーのトークセッション。
どれも網代の未来、これからリノベーションスクールをこの場所で行う意味を見出せる、有意義な時間となりました。
まちあるき
「京、大阪に江戸、網代」という言葉があるように、江戸時代の網代は人の出入りも多く、大変栄えたまちでした。
漁業が盛んで、地形的にも船で江戸を出発する際は必ず寄港する場でもあったので人口も多く、人で溢れていました。
網代の町内は、家同士が密集しておりその当時の様子を読み取ることができます。
阿治古神社、漁港を回り、すっかり夏の暑さにやられたところでAJIRO MUSUBIへ帰ってきました。
今度は、涼みながら藤本さんの講演です。
藤本智士さんの講演
改めて熱海のこれまでのリノベーションまちづくりの取り組みと、リノベーションスクールの意図を市来さんが話します。
課題を抱えた地域に、新しい風を吹かせ、チャレンジできる環境を整える。場所の可能性をじっくり考えることによって、その地域をどう「つくる」のか。
その地域の人の声を聞き、受講する仲間たちの声を聞き、自分の「やりたい!」を形にするリノベーションスクール。今後の取り組みに目が離せません。
そこからバトンタッチして、ゲストスピーカーの藤本智士さんのこれまでの活動、あゆみから「編集」の力のスゴさを感じました。
何を売り出すのか、ではなく、どんなビジョンを描いてそれを売り出すのか。
この順番の違いに「編集」が活きていきます。
秋田に住む人々と、藤本さん率いる編集チームがタッグを組み、秋田の魅力を発信したローカルペーパー「のんびり」の裏話。秋田の寒天を取り上げた経緯のお話をされました。
「秋田の有名どころ、例えばなまはげとかきりたんぽとか、そういうものを取り上げても誰も見ないんですよ。だから、もっと地元の人にとって当たり前にあるものを、よそ者の視点で取り上げるんです」
そこで、見つけたのが秋田の露天販売で見つけた寒天。家庭料理の一つとして、どんな食材でも寒天に固める文化があるそうで。
寒天の産地である長野県と、なんでも食べ物を寒天で固める秋田県のお母さん。
この二つの県を繋ぎ、寒天の展覧会を行うことで、寒天に「編集」をかけたのです。
寒天にフォーカスを当てた時に、「たくさんの人に食べて欲しい」と消費を目的にするのではなく、「こんな寒天、面白くない?」と認知を目的にすることで、物産展以外の寒天の可能性を見出したのでした。
このように、地域の人にとっては当たり前のものでも、違った角度で「編集」したら、刺激的な情報発信が可能になるのです。
藤本さんの編集人生は『取り戻す旅』に綴られています。
https://coriolisbooks.stores.jp/items/668652e4444fad00327f84ef
さらに、「編集」とはなんなのか、「編集」の力によって何が起きるのかが、詳しく書かれているのが『魔法をかける編集』です。
https://mishimasha-books.shop/items/5d1584bfcea8277a93dafe58
あじろ家守舎の取組と目指すこと
しばらくの休憩を挟み、今度は実際に網代で活躍するプレイヤーの取り組みを聞きます。
あじろ家守舎代表理事の山崎明洋さん、理事の酒井博基さんから旧網代小学校をリノベーションし、新たな交流の起点として「AJIRO MUSUBI」のコンセプトを語っていただきました。
「この場所は、自由研究の実践ひろばとして使ってもらいたい」
小学校を舞台としていることから、誰でも、どんな世代の人でも思いついた「やりたい!」を全力で応援・サポートできる場としてもあることを酒井さんが語ります。
このAJIRO MUSUBIがチャレンジと、各人のウェルビーイングにアプローチできるようにこれからも定期的なワークショップや網代地域に根差した場としてあり続けたいと、山崎さんが語りました。
LIFE BASEが網代で目指すこと
新たに網代の空き家を借りて、新しいチャレンジを行おうとしているのが、佐藤有希さんです。
静岡県藤枝市で民泊を経営しながら、都内で会社員として働く、多拠点で活躍する佐藤さん。
偶然知った「網代」の魅力に惹かれ、2拠点生活を行うべく、計画を進めているそうです。
「こんなにも美味しい干物を食べたことはなくって! それで干物にまず惹かれて、調べ始めました」
干物から、網代に興味を持ち調べていくうちに網代の現状を知り、気がついたら体が動いていたそう。
網代の空き家物件を活用し、民泊の経営や漁港がこれからも活躍できるような仕組みづくりに邁進していくことを熱く語りました。
トークセッション「網代のまちを“編集”する」
最後は市来さんがファシリテーターとなって、今までの登壇者全員を交えたトークセッションです。網代に対して熱意をもつプレイヤーたちの、「網代のどこに惹かれたのか」を引き出します。
それぞれが網代に惹かれたきっかけを話すなかで、藤本さんがふと言葉をもらす。
「原動力は、もっとよくわからん、ゾクゾクっとしたところから出発するはず。そんなにきっかけを言語化しなくてもいいんじゃない?」
原動力はもっと直感的で、「なんかイイかも?」と思ったにすぎない。
その直感からどう出発していき、どんなビジョンを見つけ、何を作っていくのか。その過程こそに真価があるみたいです。
網代に育ち、Uターンして網代に戻ってきた山崎さんが、描いていたビジョンを語ります。
「ただ、このまちに暮らす人が幸せに生活してくれていたらいいんです」
網代小学校の再興も、舞い込んでいたお話らしく。
山崎さんの描くビジョンに重なったため、仲間を集め、事業に取り組んだそうです。
直感から、「やりたい!」がみつかり、チームとして一つのものを完成させていく。
その難しさもあり、しかし確実にあるやりがいを確かめ合いました。
これから、網代の未来をどのように描くのか。
全てはその場にいる人の想像力に掛かっています。
リノベーションスクールのお申し込みは9月16日より開始予定です。
募集開始等のお知らせは公式LINEから行います。
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