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リノベーションスクール事前講演会レポート@伊豆山 〜自分たちの手で暮らしをつくる 〜

2024年10月16日 20:59pm

9月16日、熱海市伊豆山に位置する浜会館にてリノベーションスクールの事前講演会が開催され、ゲストと来場した方々とで、これからの伊豆山の「暮らし」を考えました。浜会館はビルの2階にあり、講演会前には浜地区の住民のビンゴ大会が開かれるようなまさに地域の生活に欠かせない場。ビルの1階には共同浴場「走り湯浜浴場」が、3階・4階には居酒屋、スナック、珈琲店などが出店し、複数の用途で使われています。

講演会内容はこちらから
https://renovation-atami.net/2024/08/30/jizenkoen-izusan/

本記事は、実際に参加した講演会のレポートとなっております。

 

まちあるき、ゲスト講師の講演会、小グループ(小商い、農、福祉)に分かれてのテーマトーク。伊豆山が基点となり、多様な職種のメンバーがこれからの伊豆山の可能性を感じられる時間となりました。

 

まちあるき

走り湯から伊豆山神社までを繋ぐ、伊豆山の特徴である階段と、高低差を身体で感じます。

 

浜会館の下の広場には、週に一度南熱海からの商店が出張していて、地域の方が何名か買い物に集まっていました。

 

浜会館、135号線沿いの主要な店舗や工房、土砂災害の復興を目指してできたコミュニティカフェ「あいぞめ珈琲店」、地域へ向けたイベントを積極的に開催している「123MUSIC」などを実際に携わっている方々からお話を聞きます。

 

途中から降り始めた雨が強くなる前に浜会館へ。いよいよ講演です。

講演会のはじまり

 

熱海のこれまでのリノベーションまちづくりの取り組みと想い、今年11月から12月にかけて開講されるリノベーションスクールについてを市来さんが話します。

 

課題を抱えた地域に、新しい風を吹かせ、チャレンジできる環境を整える。場所の可能性をじっくり考えることによって、その地域をどう「描く」のか。その地域の人の声を聞き、受講する仲間たちの声を聞き、自分の「やりたい!」を形にするリノベーションスクール。今後の取り組みに目が離せません。

 

小嶋直さんの講演

次に、埼玉県草加市で「シェアアトリエつなぐば」を立ち上げた小嶋さんのお話が始まります。小嶋さんには、今年のリノベーションスクールで、伊豆山のユニット(5〜7名の受講生のチーム)を伴走していただきます。

小嶋さんの生い立ち、実際につなぐばを立ち上げた経緯、どのような想いと考えをもって活動に取り組んでいるのかがわかる時間となりました。

今まで興味を持ち、行い続けてきた建築関係の世界の環境から、より一人一人の顔が見えるような環境で、仕事をしたいという気持ちが芽生えました。

 

植木屋さんの一角を借り、リノベーションをしてそこで設計事務所を独立して立ち上げます。それがきっかけとなり、集まった仲間と共にやりたいことを行えるように、その一帯が事務所やカフェ、雑貨屋として並ぶエリアに作りかわりました。

それがまちづくりの第一歩となりました。

 

自分の暮らすエリア以外にもこのような人と人とのつながりがわかり、暮らしを共にできる居場所づくりに興味をもった小嶋さんは、「リノベーションスクール@そうか」に出逢い、本格的なまちづくりに乗り出すことになりました。

 

そして、リノベーションスクール受講生仲間と共に、「シェアアトリエつなぐば」の構想を練り、実現するに至りました。

 

大家さんに熱意を伝えて借りたアパートは、DIYのワークショップを定期的に開催しながら作り上げた、想いとたくさんの人の手が関わった温かいものになりました。

 

その過程で、「Do it yourself」から、主語を広げて私たちで作り上げることの意味を込めて「DIO(Do it ourself)=ほしい暮らしは私たちでつくる」を掲げて、多くの仲間と共に自分の求める暮らしを広く考え、作り上げる仕組みづくりに邁進しました。

 

それぞれのやりたいことを、やりたい範囲で行うことができる小商い。誰もがいつでも農家になれる「コミュニティファーム」。シェアアトリエつなぐばを貸してくれた大家さんが開くシェアキッチン。働くお母さんとその子ども達が気軽にやってきて、日常を暮らせる場がそこにありました。

様々な想いで、「小商い」「農」「福祉」の要素が交差し、それぞれがそれぞれと関わり合い、それにより、経済循環だけにとどまらず仲間の間でも循環が生まれ、より人と人とを感じられる場所となる。自分が1人ではないことを思い出させてくれる仕組みがそこにはありました。

 

ルールやシステムを厳密に設けず、都度仲間と話し合うことで制度を確立していくシステムは、一見時間を多く要する面倒なものに思ますが、その都度膝を突き合わせて話をし向き合うメンバーは、仲間同士で真に向き合っていけるようになるのかもしれないと感じました。
話し合いを経て、強まった絆から、まちづくりや場づくりは人そのものも作り上げられる「人づくり」も可能にすることがわかりました。

 

色々な場で、この「人づくり」の取り組みは行われており、地域とこどものつながりを感じ、こどもを地域で育む「つなぐばもどき」が10月10日にプレオープン予定です。

これからも埼玉県草加市で生まれる小嶋さんをはじめとした仲間たちの手がける場所、人づくりにワクワクが止まりませんでした。

※本章の挿入画像は小嶋直さんスライドより

 

テーマトーク

小嶋さんの講演を経て、「小商い」「農」「福祉」のグループに分かれ、伊豆山にてそれぞれの分野で活躍している方々の話をもとにディスカッションを行いました。

 

<農グループ>

伊豆山の森林整備や森と人との関わりを問いながら、様々な活動を行っている合同会社アラハラスヤッホ代表の吉田泰志さん他、前回のリノベーションスクールで誕生した「雨後の庭」チームのメンバーも参加されていました。
吉田さんの話を皮切りに、伊豆山の山や参道や「雨後の庭」で、これからできることがなんなのか、アイデアを出し合いました。

伊豆山の抱える現状から、どのように「農」が生きていくのか、それぞれの参加者のバックグラウンドを共有しながら語ることができました。

 

<小商いグループ>

伊豆山でワインやアート、音楽を身近に感じクリエイティブな空間で癒しと安らぎを提供する泊まれるカフェバー「123MUSIC」に関わる安藤大河さん。

活動内容や今までの講演会の話を踏まえて「自分だったらこんなことがやりたい!」を、それぞれ自分の言葉で語る時間となりました。

伊豆山に暮らしているからこそ、見えてくる現状や自分がつくりたい暮らし。
好きなことや、やってみたいことを軸に自分の視点で伊豆山をどう盛り上げるのかを考えられた創造的な時間となりました。

 

<福祉グループ>

静岡市で医療福祉キャリアカウンセラーを行いながら、伊豆山でフィールドワークを行い、高齢者の一人暮らしにフォーカスした福祉の問題を考える「Enknock」の長谷部聖実さん。

伊豆山の現状をデータから読み解き、現に伊豆山に住む元町内会町中田さんから、高齢者の暮らしを語っていただきました。
また、介護タクシーを運営する「伊豆おはな」河瀬豊さんより、熱海の介護に関する現状を語ります。福祉、医療はいずれも誰しもがどんな形であれ関わることになるため、福祉離れや、介護の問題などこれから深刻になるであろう課題を、それぞれの視点から語ることができました。

「歩いているうちに、人の営みがよく見える。小さいながら、いろんな可能性を行える兆しがある。それぞれがやってみたいことをやっていることがまちを歩いてわかった。目線を変えてできることがいっぱいある。これから伊豆山でできることを自分も考えてみたいと思った」

 

伊豆山の抱える「現状」を、なんとかして変えるのではなく、その現状の見える角度を変えて、自分のできること、やってみたいことをそれぞれのワクワクをもって考えることでより伊豆山が面白くて楽しい場所になるのではないかと、小嶋さんのコメント。

お金や場所の権利問題など、現実的な部分は多くあるけれど、それすら軽々と飛び越えられるのが自分の想像力と「ワクワク!」ではないのでしょうか。

 

今回の会から触発されて「みんなでつくる」伊豆山のこれからに期待が高まりました。

 

リノベーションスクールのお申し込みは10月20日(日)まで募集中です。
https://renovation-atami.net/2024/09/14/6th_renovationschool_atami/

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