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エリアの価値をつくるのは、そこに暮らす私たちーATAMI 2030だよ♨️全員集合!体験レポート前編

2017年7月8日 22:24pm

ATAMI 2030だよ♨️全員集合!の体験レポートを熱海出身・東京在住のライター・国分美由紀さんに執筆いただきました。熱海のまちづくりのリアルな現在地がわかる記事を前編・後編にわけてお届けします。

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「『ATAMI2030会議』のファイナルに200人が集まった」、「25の事業が立ち上がった」
——そんな話を耳にしたのは今年の春。まちの映画館だった「ロマンス座」で2017年の第1回目が開催されると聞いて、20数年ぶりに客席へ腰をおろすとオープニングトークが始まった。

そもそも、「ATAMI2030会議」とは、まちが持つ資源を見つめ直し、時代に合わせてまちと暮らしをアップデートする指針をつくる“場”のこと。主催は、熱海市。まちづくり(家守)会社machimoriとの官民連携プロジェクトとして2016年にスタートしたのだそう。

「すでに熱海ではさまざまな民間のプレイヤーが動き出していましたが、
役所としてどう対応すべきか、よくわかっていない部分がありました」

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ざっくばらんに話す副市長・森本 要さんの言葉にある“民間のプレイヤー”として株式会社machimoriが立ち上がったのは2011年のこと。翌年、銀座通り商店街に「CAFE RoCA」がオープンし、2013年からは「リノベーションスクール」と「海辺のあたみマルシェ」が開催され、2015年にゲストハウス「MARUYA」やコワーキングスペース&シェアオフィス「naedoco」など、リノベーションスクールから生まれた案件が次々に事業化されてきた。
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「この5年で、祭りの神酒所に使える場所(空き店舗)が減りました。
マルシェなどの動きが継続されるなかで、いい状況が生まれているのでは。
難しい話だけれど、今後まちづくり会社に期待したいのは“事業継承”ですね」

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佐藤油店と「naedoco」のオーナーである佐藤秀幸さんの言葉を、建築家の大島芳彦さんが引き継いだ。

「みんな、事業や資産の継承を個人だけの問題にしすぎている。
これからは、社会のこととして捉え、
きちんと生かす術を考える時代だと思います」



そのやり取りを聞きながら、銀座エリアのまちづくりが次のステップに進んでいることに気づく。ちなみに、熱海市の高齢者率は44.7%、つまり2人に1人が高齢者。だからこそ、誰もがが心地よく過ごせる“まちなか”にしていかなければ、まちは立ち行かない。
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オープニングトークの後、3つの会場でさまざまなトークセッションが行われ、いよいよ本会議。スクリーンの前には、座長である建築・都市・地域再生プロデューサーの清水義次さんをはじめ、委員会メンバーや民間のプレイヤーたちが並んだ。
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東京と熱海の二拠点で活動する人、ひょんな縁から動き始めた人、Uターンや移住を機に“場”を立ち上げた人……動き始めた理由も、やり方もそれぞれ。けれど、多くのプレイヤーが「このまちでなら、できると思った」と口にしたのが印象的だった。観光地として昔から人の出入りに慣れているせいか熱海の人やまちには、ゆるやかな“余白”がある。動き始めようとする人の目に可能性と映るなら、それは立派なまちの資源。

それぞれが自分の思いを語るなかで、いちばん印象的だったのは、仲見世通り商店街にある『パン樹 久遠』のオーナー、武山陽司さんの発言だった。
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「変わることに抵抗を抱く人が多いなかで、Uターンして
同世代の仲間たちと商店街を変えようと動いてきた。
でも、歳とともにその勇気と力がなくなっている」

手の届く範囲から、足元を固めるように動いてきた人が、いま感じているジレンマを素直に口にする。まちと暮らしの課題を自分事にして動き始めた人や迷っている人、ふらりと立ち寄った人がそれを受け止める。
立場や出身地、年齢なんて境目をとっぱらい、素直に思いをかわす“場”がある。かつての繁栄という熱気の余韻から、どこか醒めきれずにいた大人たちを眺めてきた私にとって、その光景こそが大きな変化だった。
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建築からまちづくりのディレクションまで実践する西村 浩さんの講演「『どこもかしこも駐車場』を考える」も、駐車場というまちの“余白”を使いこなす発明(アイデア)の話。熱海でも増え続ける駐車場がテーマなだけに、会場全体が西村さんの言葉に集中しているのがわかる。

「駐車場は、土地利用の墓場。空き地が増え続けるなら、
みんなが幸せになれる方法でまちをシェアしよう。
ただし、自由に使うからにはそれぞれが責任を持つこと。
何でも行政のせいにするのは虫がいい」

人も車も増え続け、駐車場が必要だった時代は過ぎた。2020年の東京オリンピックから10年後、私は、熱海のまちはどうなっているだろう。
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「敷地に価値なし、エリアに価値あり」とは、座長である清水さんの言葉。エリアの価値をつくるのは、そこに暮らす私たち。まちづくりは、すべてを壊してまっさらな状態から始められるわけじゃない。ましてや、明日からすべてが変わるわけでもない。

いまあるものをどんな風に生かして使うか。一人ひとりの発想力と覚悟から、まちなかに“点”が生まれる。少しずつ“点”が増え、人のつながりから“線”が生まれ、密度が高まればエリアという“面”になる。それは、誰かの一人勝ちではなく、まちの底上げ。
自分は熱海でどうしたいのか、何ができるのか。ずっと考えながら答えが出せずにいる問いを、改めて目の前に差し出されたような1日だった。


文・国分美由紀(こくぶ みゆき)
編集・ライター。熱海で生まれ育ち、現在は東京で女性誌を中心に活動。NPO atamista発行のフリーマガジン「あたみのつかいかた」を立ち上げ、まちづくりや手しごとなど「ひと・もの・こと」について執筆。


次回のATAMI2030会議は8月23日(水)。
ATAMI2030会議 第2回テーマ「『現代』と公共空間」
日時:2017年8月23日(水) 18:00〜20:30
会場:naedoco(熱海市銀座街6-6 サトウ椿ビル 2F)
申込:https://goo.gl/forms/bKwsdk8byrzg3woM2
詳細はこちら:http://renovation-atami.net/2017/07/06/2030mtg02/

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8月9日(水)には子ども会議も開催!
ATAMI2030子ども会議
日時:2017年8月9日(水) 9:00〜16:00
会場:南熱海マリンホール 中ホール(〒413-0102 静岡県熱海市下多賀541-12)
申込:https://goo.gl/forms/xGIHOhC3nyuZDByx2
詳細はこちら:http://renovation-atami.net/2017/07/06/atami2030kids/

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